感染症に対するワクチン接種の集団免疫について

感染症に対するワクチン接種の集団免疫について

感染源からヒトの身体に届く(皮膚や粘膜に接触するまで)までの予防方法は換気や温度・湿度調節、感染経路の管理、マスク、手洗い・うがいですよね。実は、他にワクチン接種もヒトの身体に届くまでに予防できるのです。

ワクチン接種で免疫を得る

ワクチンを接種して免疫を得ることでウイルスや細菌などが侵入しようとしても感染・発症をさせないというワクチン接種の効果は「個人免疫」です。ワクチン接種はそれだけではなく、ワクチン接種による免疫保持者がある程度の割合を越えるとヒトとヒトの間で感染・発症しなくなるためにその予防対象の感染症が流行しなくなります。その効果を「集団免疫」といいます。免疫保持者が一定の割合を越すと、感染・発症して微生物を運ぶ存在(キャリアー)がいなくなる結果、感染せずに済むようになります。集団免疫が人類規模の大きな範囲に及ぶと感染症は根絶されます。ちなみに天然痘は既にワクチン接種によって根絶されており、現在はワクチン接種によって麻疹を根絶しようと取り組んでおります。

基本再生産率とは

では一定の割合とはどの程度なのでしょうか?それは感染症の基本再生産数によって異なります。基本再生産率とは、1人の感染者が全く感染したこともなくワクチン接種を受けたこともない集団に持ち込まれた時、その1人が何人に直接感染するかを示した値です。基本再生産数の例を下の表に挙げます。麻疹や百日咳などは、なんと1人から十数人にうつります。基本再生産数の値が大きい感染症ほど、集団免疫を得るためにより多くの割合の人がワクチン接種を受ける必要があります。

まとめ

以上、ワクチン接種は、より多くの人が受けることで接種された本人だけではなく社会全体でも、感染・発症する危険性を下げることが可能です。

医師:武内治郎

武内小児科・内科

医師:武内治郎

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